はじめに
数か月前、実は転職をしました
転職の動機などはまた別の機会に語ろうと思いますが、
独学でAIを学んだ、歴1年半の半人前のエンジニアが、
実際転職市場でどういう評価を受け、
結果どうなったのかを書いてみたいと思います
似たような転職を目指している方の参考になれば幸いです
転職を始めた段階での経歴やスキル
- 30代前半
- 機械設計歴:6年位
- メカ設計(CADでのモデリング、製図)、実験
- プログラミングは多少(実験データをまとめるMATLABスクリプト、Excelマクロくらい)
- AIに関してはほぼゼロだが最後あたりに興味を持つ
- AIエンジニア?データサイエンティスト?機械設計者?:1年半
- 上司との面談で「AIをやってみたい」と話したことでやることに
- 職務としては機械設計者(所属部署もそのまま)だが、担当製品も無く「勝手にやっていい」とのお墨付き(悪く言えば仕事が無い機械設計者)
- 設計、実験データの分析、分析業務の自動化、所属部門へのAI技術展開、AIを使った治具開発などなんでも
- MATLAB、Pythonでの個人開発がほとんど
- 技術領域としてはAIというより信号処理、画像処理、機械学習、たまーに基本的なディープラーニング
- 教えてくれる人は誰もいないので、ほぼ独学(研修は頼めば行かせてもらえた)
つまり、正直に言うと
キャリアのほとんどをAIどころかITにも程遠いメカエンジニアとして過ごし、
AIエンジニアとしてどころかITの知識も乏しい、
AIエンジニアともデータサイエンティストとも言い切れない、
半人前エンジニアです
結論から言うと
結論から言うと、こんな経歴ですが、結構うまくいきました
経験不足と知識不足から苦戦を想定していましたが、
思ったよりはるかに転職市場での評価は高かったです
転職市場での評価
エージェントからの評価
3名くらいの転職エージェントと話をしました
どのエージェントを使ったのか、などはまた別の機会に話すとして、
今回はエージェントと面談をした中で頂いた評価をまとめてみますと、
- 実務・マネジメントどちらも経験が豊富(どちらかに偏っていないことが好印象)
- AIに関してのスキルとしては豊富ではないが、完全に売り手市場であるので問題ない
- 年齢としてもちょうどよい(十分なスキルを持ち、かつこれからの成長も見込める)
というような感じでしょうか
いずれにしても、この経歴とスキルなら問題なく転職できる、というような話でした
それぞれの評価について、もう少し補足します
実務・マネジメントどちらも経験が豊富(どちらかに偏っていないことが好印象)
これに関しては、実務もやりつつ、マネジメント業務も多く行っていたことを高く評価されました
大手企業によくありがちなのが、いわゆるマネジメント業務(ITエンジニアでいう上流工程)がほとんどになり、実務(ITエンジニアでいう下流工程)をやらないことが多いということで、
どちらもバランスよくスキルとして持っているのは、意外と珍しいそうです
上流工程ばっかりやっていてほとんどプログラムをかけないエンジニアも結構いる、という話でした
良くも悪くも、「大手企業っぽくない」働き方をしている、と別のエージェントから言われました
これは自身が業務をしていて嫌な部分(自分でなんでもやる事になる)だったんですが、意外とこういうスキルが役に立つものなんですね
AIに関してのスキルとしては豊富ではないが、完全に売り手市場であるので問題ない
ここに関しては、とにかくAIを扱うエンジニアは需要に対して供給が追い付いておらず、ある程度のスキルがあれば転職できるような印象でした
AIが普及していけば需要と供給が段々とマッチしていくものかもしれないので、時期的にラッキーだった面もあるかもしれません
とは言え、まだまだ売り手市場な職種であることは間違いないと思いますね
年齢としてもちょうどよい(十分なスキルを持ち、かつこれからの成長も見込める)
ここに関しては、スキルと年齢のバランスが非常にちょうどよかったのかもしれません
30代になるとスキルだけでなくマネジメント力も求められますが、
その辺りを経験として持っていたことも大きく評価してもらえました
とはいえ、あと数年経って、35歳を超えるとこうスムーズにはいかなかったようにも思えます
20代前半~中盤は将来性
20代後半からは将来性に加えて専門性
30代は専門性に加えてマネジメント力
が一般的には求められると思いますが、
AIエンジニアのような職種でも同じような状況かと思います
また、同じく一般的に言われるように、35歳を超えると転職は厳しくなってきます
もちろん、高い専門性を持っている場合は全く問題ではないと思いますが…選択肢としてはどうしても少なくなりますね
企業からの評価
企業からも、これも思ったより高い評価をもらえました
とはいえ、私の場合地方へのUターン転職でもあったので、
多くの企業を受けたわけでは無いです
書類選考
まず書類選考ですが、
「約7割」通過しました
通るところもあれば落ちるところもあり、という感じですね
ちなみに、落ちたところはいずれも大手ではなくベンチャーで、理由は「経験不足」でした
ただよくよく考えてみると当たり前の話で、
結局のところ、エンジニアとしては私は「半人前」です
ベンチャーは「即戦力」のエンジニアを求めているのであり、私のような半人前エンジニアを育てる余裕はないのでしょう
結果的に、残るのは将来性も加味してくれているであろう大手メーカーと、これまでの経験をそこそこ活かせそうなベンチャーになりました
面接
次に面接ですが、
思った以上に、面接は通りやすいと感じました
キャリアと新卒の違いで大きく感じたのは、
「書類選考の重み」です
キャリアの場合は企業が欲しい人材がほとんど決まっているので、
募集要項に欲しい人材がピンポイントで書いてあることがほとんどです
そのため、
書類選考を通過しさえすれば、
面接で「予想を下回る」ようなことがなければ、
高確率で面接は通るのかなと思います
(もちろん場合によるとは思いますが)
私が受けた企業をカテゴライズすると、
- 大手メーカー
- 大手地銀
- AIを手掛けるベンチャー
の3カテゴリになるので
それぞれ簡単にまとめてみます
大手メーカー
まず「大手メーカー」での面接をまとめてみます
大手で一番感じたのは、即戦力を求めるベンチャーとは異なり、「採用側に余裕がある事」です
大手の場合は30代の私でも、専門性に加えて将来性も加味されていたような感触でした
そのため、現状の実力以上の評価をしてもらえたのだと思います
また、強みとして
- チャレンジ精神
- 現場への理解
を評価してもらえました
「チャレンジ精神」に関しては、
知識ほぼゼロから独学でここまで来た事、
メカからの転向者が市場にほとんどいないこと
などを評価して貰えた印象です
また、メーカーだったためメーカーの「現場に対する理解(設計、工場など)」も高評価でした
一般的なITエンジニア出身の場合、このあたりが弱いため、
比較して強みととらえてもらえたのだと思います
大手地銀
唯一面接で落とされたのが、銀行です
正直に言って、準備が足りなかったのもありますが、
根本的に向いていなかったのだと思います
(そしてそれを見抜かれた)
落とされはしましたが、
担当者の方から印象的な言葉をいくつか頂いたので、
受けてよかったのかなと思います
内容だけで記事が一つかけそうなので、ここでは詳細は書きませんが、
面接で私が「向いてない」と悟ってしまったこと
それを相手側も悟ってしまったこと
それがすべてなのかなと思います
データサイエンスの職種でしたが、
やっぱりデータサイエンティストは「そのデータが好きである事」は大前提だと再認識させられました
ベンチャー
書類が通ったベンチャーは
- 製造業を対象としたAIベンチャー
- これからAIに手を出そうとするベンチャー
だったため、そこそこ今の経歴でも即戦力として見てもらえ、書類選考が通ったのかなと思います
ここでの評価もおおむね大手と同じで、
- チャレンジ精神
- 現場への理解
を評価して貰えたような感触でした
全体としての印象
思った以上に、思いもよらないところが高評価に結びつくんだなと感じました
無駄だと思うような仕事もしっかりとやっておけば、
意外と全く関係ない職務でも評価されるんですね
また、特にキャリアチェンジしてAIをやり始めた場合、
AI以外の
それが「特殊なもの=通常のAIエンジニアだとあまり持ち合わせていないスキル」だと、そこを評価してもらえそうな感触でした
さいごに
1年半、AIを独学でやっただけでしたが、
それでも思ったよりスムーズに転職活動を進めることができ、
無事AIエンジニアとして転職を果たすことができました
転職後も、AIエンジニアとしてのスキルだけではなく、
これまで身に付けてきた色々なスキルを使う機会は多くあります
結果的に前職と同規模のメーカーを選びましたが、
自分のスキルを十分に活かす、という意味ではいい選択だったかなと思います
結局のところ、モノづくりが好きで機械設計者を目指して前職のメーカーに入ったわけなので、
仕事が変われどもやっぱり好きなもの(データ)を扱うことになって良かったなと思います
以上、
私の転職について書いてみましたが、
少しでも誰かの役に立てば嬉しいです