家電や精密機器でよく使う樹脂成型材料のまとめ

※編集中です

はじめに

メカ屋を離れてしまったので、自分の備忘録として

各材質まとめ

ABS

A(アクリロニトリル)B(ブタジエン)S(スチレン)
の3種類の成分を組み合わせた樹脂
普通に「エービーエス」と呼ぶ

めちゃよく使う

エンプラではなく汎用プラスチックに分類されるので、安いが性能はそこそこ
コスト重視して性能が要らないところは使うことも多い

摺動しない、強度がそれほど必要ない、耐熱性もそれほど要らない場合など

また、成型ではなく切削でもよく使う印象

試作メーカーが大体材料を持っているので、
試作は大体ABS(自然色)で依頼する事が多い

自然色だとクリーム色でダサいので、かっこつけたいときは黒色で出すことも

PS(ポリスチレン)

ABSよりもっと安いので、コストダウンしようとすると大体この材料が出てくる

また、透明であることも利点
透明であることが必要な箇所にはよく使う

ただ耐熱性がなく、強度も弱いため使うところは限られる

発泡させると、いわゆる発泡スチロールになる

HI-PS(耐衝撃性ポリスチレン)

「ヒップス」と読む
ゴムを配合しているため、耐衝撃性は高くなり、またそれでも結構安い

透明ではなくなるが、耐衝撃性が高く、割と安い、ということから使い道は多い

PC(ポリカーボネート)

「ポリカ」と呼ぶことが多い

透明樹脂でPSだと適さない場合にこの選択肢になる
また、耐衝撃性は高い

ただし結構高くなるので、単体ではそれほど使っていなかった

PC+ABS

PCとABSを混ぜ合わせたもの
全部PCにするよりは安く、ただのABSよりは性能に優れる

軸受けなどでも使え、擦動部でも一定条件であれば使える
これでも耐えられないのであればPOMの二色成型などを考える

ちょっとてかてかしている?(グレード等による?)

POM

「ポム」と読む

ギアといえばこの材料というくらい一般的な材料
強度に優れ、耐摩耗性に優れる
また、軸受けも樹脂の中から選ぶとすればこれ

ただ一般的なエンプラよりちょっと高め

なお、「一般グレード」と「摺動グレード」があり、摺動グレードの方がより耐摩耗性に優れるがやはり高い

ただし燃えやすいことがネックなので、使う場所は限られる
(家電などは燃えにくくする設計にしなくてはならない)

PA(ポリアミド)

いわゆるナイロン
あまり使わなかった

PP(ポリプロピレン)

使う業界もあるのかもしれないが、
私がいたところではほぼ使わなかった

PET

ブロー成型などでは使うが、ほぼシート材として使っていたイメージ

シート材は一番安いのでまず最優先の候補

PPS

シート材ではPETで性能が足りないときに使う印象

ただPETよりは高い

成型の材料としても使うことができ、
耐熱性など非常に優秀ではあるが、
なかなか使えない

PI(ポリイミド)

通称カプトン

きわめて高い耐熱性を誇るが、とにかく高い

シート材として選択肢に上がることはあるが、
なかなかそのコストで二の足を踏む

あとクリープはしやすいのが難点

ほか

添加剤ではあるが、ガラスを添加することは多い
精度も出やすく、何より強くなる

が、当然高いのでコストが重要視されるところではなかなか使いにくい…

S.N

S.N

元メカ設計者、現AIエンジニア(画像認識)。よく言えば何でもできるが悪く言えば器用貧乏。

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